【道場紀行】闘塾

神奈川県厚木市で活動されているフルコンタクト空手の道場「闘塾(とうじゅく)」さんを取材させていただきました。

代表を務められている鈴木俊彦師範(空手歴30年以上、講道館柔道初段)にお話を伺い、「内発動」を取り入れた独自の稽古と、今年になって子どもや女性が一気に増えたという道場のいまについてお伺いしました。

指導者のミットに蹴りを入れる稽古の様子

筋肉ではなく「骨」から動かす。内発動を取り入れたフルコンタクト空手

大谷(武道・道場ナビ管理人)
大谷(武道・道場ナビ管理人)

本日はよろしくお願いいたします。
まずは、闘塾さんがどんな空手を稽古されているのか、教えてください。

よろしくお願いします。
空手は大きく分けると、直接打撃を認める「フルコンタクト空手」と、当てない「伝統派空手」があります。うちは前者、直接打撃のフルコンタクト空手をメインにしています。
私自身、極真をはじめいろいろな流派をやってきましたので、それをベースにしながら、「内発動」や他の武術で学んだ呼吸法などを随時アップデートして取り入れた空手をお伝えしています。

鈴木俊彦 師範
鈴木俊彦 師範
大谷(武道・道場ナビ管理人)
大谷(武道・道場ナビ管理人)

ホームページでも拝見した「内発動」ですが、どういったものなのでしょうか。

内発動は、川嶋祐先生が体系化された身体操作の理論です。
筋肉に頼るのではなく、股関節や肩甲骨、インナーマッスルといった体の内側から動きをつくるという考え方で、川嶋先生にはとても影響を受けまして、インストラクターの資格講座も受講しました。
たとえば、稽古の最初に行うストレッチも「内発動ストレッチ」です。
時間をかけて体を伸ばす従来のものとは違って、パフォーマンスを上げることと、怪我を防ぐことを目的にしたストレッチなんです。
基本稽古の中にもこうした動きを組み込んでいるので、一般的なフルコンタクト空手の道場とは、少し違う練習をしていると思います。

鈴木俊彦 師範
鈴木俊彦 師範
大谷(武道・道場ナビ管理人)
大谷(武道・道場ナビ管理人)

「まず怪我をしない体の使い方から入る」というのは、大人になってから始める方には心強いですね。

40〜50代中心だった道場に、子どもと女性が一気に増えた

大谷(武道・道場ナビ管理人)
大谷(武道・道場ナビ管理人)

道場の特徴も伺えればと思います。会員さんの層が、最近変わってきたそうですね。

少し前まではシニアのクラスというか、40代・50代の男性が多くて、子どもはほとんどいませんでした。
ただ、子どもや女性、親子でも通えるように広げたいと思っていて、今年に入ってから募集をかけたんです。
そうしたら思いのほか「やりたい」という方がいらっしゃって、本当にここ6月・7月あたりから一気にメンバーが増えて、盛り上がってきたという感じですね。

鈴木俊彦 師範
鈴木俊彦 師範
ミットに向かって蹴りを放つ少年
大谷(武道・道場ナビ管理人)
大谷(武道・道場ナビ管理人)

今はどのくらいのお子さんが通われているのですか。

下は年長さんから、上は小学6年生までですね。
女性は、私の知り合いも稽古していますし、その友人や、親子クラスに来ているお母さんたちもいます。

鈴木俊彦 師範
鈴木俊彦 師範
大谷(武道・道場ナビ管理人)
大谷(武道・道場ナビ管理人)

子どもや女性に教えるときに、工夫されていることはありますか。

子どもには、難しいことを教えても分からないと思うんです。ですから「こういう感じで股関節から体を動かすよ」「肩甲骨から動かすよ」と、言葉ではなくジェスチャーで見せて、真似してもらうようにしています。
今は分からなくても、大人になったときに「あれはこういうことだったのか」と分かってもらえたらいいな、という気持ちでやっています。
女性に教えるときは、言葉遣いにはすごく慎重になりますね。
あまり専門的なことを言うと難しくなってしまうので、「こう言えば伝わるかな」と、その都度考えながらお伝えしています。

鈴木俊彦 師範
鈴木俊彦 師範
指導者がミットを構え、幼い子どもがパンチを打つ稽古

23年前、「自分が稽古を続けたい」から始まった道場

大谷(武道・道場ナビ管理人)
大谷(武道・道場ナビ管理人)

闘塾さんは今年で23年目と伺いました。
道場を開かれたきっかけを教えてください。

独立する前は柔道や空手をいろいろやっていたのですが、仕事の都合で通えなくなってしまったんです。
土日に仕事が入ったり、平日も遅くまでだったり、夜勤があったり。
それで、自分で始めたのがきっかけですね。

鈴木俊彦 師範
鈴木俊彦 師範
大谷(武道・道場ナビ管理人)
大谷(武道・道場ナビ管理人)

立ち上げのときのご苦労はありましたか。

趣味の延長で始めたので、苦労というより楽しかったですね。
その頃からパソコンで「この日、この場所で稽古します、やりたい方は来てください」と告知していて、蓋を開けてみると何人も来てくださる。人との出会いが楽しかったです。
当時は空手というより総合格闘技のようなことをやっていたので、いろいろな武術をやっている方やキックボクシングの方が来てくださって、お互いに技術を教え合いました。
技術がいちばん伸びる最初の時期にたくさんのことを知れたのは、今でも財産だと思っています。

鈴木俊彦 師範
鈴木俊彦 師範
大谷(武道・道場ナビ管理人)
大谷(武道・道場ナビ管理人)

23年のなかで、いちばん印象に残っていることは何でしょうか。

みんなで合宿に行ったことですね。
空手の稽古だけではなく、お酒を飲んだり、一緒に寝たり、朝早く起きてランニングをしたり。ああいう時間がすごく楽しかったです。
以前は10年ほど頻繁にやっていたのですが、子どもの会員がいなくなった時期に止まってしまって。また増えてきたので、来年あたりから再開したいと思っています。

鈴木俊彦 師範
鈴木俊彦 師範
大谷(武道・道場ナビ管理人)
大谷(武道・道場ナビ管理人)

鈴木師範ご自身が最初に始められた武道は、何だったのでしょう。

柔道です。子どもの頃から格闘技をやりたかったのですが親に反対されていて、社会人になってようやく始められたんです。
30年ほど前ですね。黒帯を取ってから、空手を始めました。

鈴木俊彦 師範
鈴木俊彦 師範
大谷(武道・道場ナビ管理人)
大谷(武道・道場ナビ管理人)

そのなかで空手を選ばれた理由は。

道着を着て帯を締める、正座をする、礼をする——そうした礼節の部分が、日本人としてしっくりくるなと。それも大きな理由でした。

鈴木俊彦 師範
鈴木俊彦 師範
大谷(武道・道場ナビ管理人)
大谷(武道・道場ナビ管理人)

大会での戦績も伺えますか。

いちばん自分の中で納得できたのは、全日本武術空手道選手権です。打撃に加えて投げ・寝技・関節技・絞め技も認められる「武術ルール」で、柔道もやっていた自分には合っていました。第3回(2008年)と第4回(2009年)で、2年続けて入賞しています。
ただ、その後に左右の半月板を手術して、思うように動けなくなりまして。ここ数年は、強く当てずに技を競い合う、寸止めに近いルールの、川嶋塾の「ライトスパーリング競技大会」に出て、3回入賞させていただいています。

鈴木俊彦 師範
鈴木俊彦 師範
大谷(武道・道場ナビ管理人)
大谷(武道・道場ナビ管理人)

指導するうえで、いちばん大切にされていることは何でしょうか。

やはり、自分が背中を見せることです。
常に体を鍛えなければいけませんし、自分自身をアップデートし続ける。それを道場生に見せるのを、いちばん大事にしています。

鈴木俊彦 師範
鈴木俊彦 師範
大谷(武道・道場ナビ管理人)
大谷(武道・道場ナビ管理人)

今も空手以外の稽古をされていると伺いました。

2年ほど前からシステマを続けています。
呼吸法やリラックスの技術が空手にも使えると感じることが多くて、空手以外で勉強したことを空手に還元する、という作業をずっとしている感じですね。
以前はブラジリアン柔術にも挑戦したのですが、怪我の影響でうまく続けられませんでした。
システマはもともと、兵士が怪我をしていても戦えることを前提にしたロシアの格闘術なので、今の自分にもできるかなと思って始めました。

鈴木俊彦 師範
鈴木俊彦 師範
女性が指導者のミットに蹴りを入れる稽古

「行くのが楽しみになる」場所へ

大谷(武道・道場ナビ管理人)
大谷(武道・道場ナビ管理人)

今後の展望を教えてください。

今はほとんどが初心者の団体になっているので、一から教え直している状態です。
少し前に国際総合空手道連盟(ISKF)に加盟しましたので、そこが主催する大会や、審判の講習会、実技の講習会に道場生と一緒に参加して、全体的にスキルを高めて、中級・上級へと上がっていければと思っています。

鈴木俊彦 師範
鈴木俊彦 師範
大谷(武道・道場ナビ管理人)
大谷(武道・道場ナビ管理人)

最後に、この記事を読まれる方へ一言お願いします。

昔のような、きついイメージの格闘技道場ではありません。稽古場所もきれいなスタジオなどを使っていますし、冷暖房もきちんと入っています。
「行くだけでちょっときついな」「今日はどうしようかな」と考えてしまうのではなく、行くのが楽しみになるような環境と、練習の内容を用意していきたいと思っています。興味のある方は、ぜひよろしくお願いします。

鈴木俊彦 師範
鈴木俊彦 師範
帯を締めた少年が蹴りの稽古をする様子

編集後記|「アップデートし続ける」師範の背中

大谷(武道・道場ナビ管理人)
大谷(武道・道場ナビ管理人)

「筋肉ではなく骨から動かす」という内発動のお話も興味深かったのですが、いちばん印象に残ったのは、鈴木師範ご自身が今も試合に出続け、システマまで学びに行かれていることでした。「背中を見せる」という言葉が、そのまま道場の空気になっているのだと思います。
40〜50代の男性が中心だった道場に、今年になって子どもや女性が一気に増えたというのも、そうした積み重ねがあってのことなのだろうと感じました。

闘塾さんでは、日曜日は初回無料、土曜日は初回500円で体験稽古を受け付けています(動きやすい服装と飲み物があれば参加できます)。
入会金はなく、会費は稽古1回1,000円・ひと月あたり上限3,000円の都度払い制です。
稽古場所やクラスの詳細は、下記の道場紹介ページをご覧ください。
※料金・スケジュールは取材時点の情報です。最新の内容は道場へ直接ご確認ください。

※お問い合わせの際は「武道道場ナビを見た」とお伝え頂くとスムーズです。

この記事を書いた人

武道・道場ナビ管理人 大谷悟

大谷悟(おおたにさとる)

  • 武道・道場ナビの管理人
  • 道場専門のコンサルタント、ウェブ解析士
  • 道場コンサルタントのサービスページはこちら
  • 道場専門のHP制作サービス(WEB道場)運営
  • 自身も武道有段者として現在も道場で指導を行う
  • 前職は財務省で広報や政府開発援助に携わる

SNSで道場運営に役立つ情報を発信中!

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