みなさんは少林寺拳法と聞いて、どんな武道だと思いますか?
小林寺拳法は、人間形成を目的とする護身術です。そのため、他の武術のように試合で相手と闘って倒すことで優劣を競うことはありません。
大会の場で、演武という形で修練した技を披露するだけです。技の構成や正確性、迫力などを採点することで修行の成果が評価されます。
このコラムでは、少林寺拳法の演武について、種類やルールを解説するので、参考にしてください。また、演武に取り組むメリットもお伝えします。
この記事を書いた人
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少林寺拳法の演武とは?
小林寺拳法は空手や剣道のように組手で相手を倒すことで優劣を競う競技とは異なります。少林寺拳法の大会は勝ち負けを競うためのものではないため、相手を倒すことには競技性がないのです。
ただ、最近では、演武で型(法形)の出来栄えについては競技性を持たせています。
大会では習った型(法形)を組み合わせて構成を作り、単独もしくは2人組や団体で、演武を行い修行の成果を確認します。
「技術の正確性」「迫力」「美しさ」「型の構成などによる武術的要素」に基づいて絶対評価で採点され、自分の足りない部分を把握できます。
少林寺拳法の演武の種類
小林寺拳法の演武は各種の大会(県大会、全国大会など)において、小学生の部、中学生の部、一般の部などに分けて行われます。
種類としては、単独演武、2人で行う組演武、団体で行う団体演武の3つです。以下に解説します。
単独演武
単独演武は、個人で行う演武のことです。区分は以下の通り(大会によって変わる場合あり)。
- 小学生の部:帯の色で区分
- 中学生の部:男女で区分
- 高校生の部:男女で区分
- 大学生の部:男女で区分
- 一般の部:男女および級拳士か段拳士かで区分
組演武
組演武は、2人1組で行う演武のことです。区分は以下の通り(大会によって変わる場合あり)
- 小学生の部:階級(級や段)で区分
- 中学生の部:男女および級拳士か段拳士かで区分
- 高校生の部:男女で区分
- 大学生の部:男女で区分
- 一般の部:男女および級拳士か段拳士かなどで区分
なお、大会によっては夫婦の部や親子の部、シニアの部などユニークな区分もあります。
団体演武
団体演武は、6人または8人で行う演武のことです。区分は以下の通り(大会によって変わる場合あり)
- 小学生団体の部: 小学生である者
- 中学生団体の部: 中学生である者
- 高校生団体の部: 高校生である者
- 大学生団体の部:大学生である者
- 一般団体の部: 16才以上あるいは高校生以上となる者
少林寺拳法の演武のルールや採点について
演武にはいくつかのルールがあり、採点にも特徴があります。
まず、7m四方の枠内で演武を披露しなければなりません。枠からはみ出すと減点の対象になります。
なお、服装は礼儀作法にも通じるため最も厳しく、少林寺拳法の「服装規定(少林寺拳法競技規則 取扱規則 取扱細則 第3章 第5条 服装規定)」に違反した場合は失格となるため、遵守が必要です。
また、頭髪や眼鏡などについても規則があります。
例えば、以下のような規定です。
- 道衣・帯は少林寺拳法公認のものとし、体格に応じたものを着用する。
- 清潔感に留意し、汚れがひどい道衣は着用しない。
- 袖章は規定通りのものを着用すること。
- メガネや髪留め、装飾品など危険を及ぼすような物は一切身に付けてはならない。
- 男女共、端正な髪形とする(パーマや着色は禁止)。
ルールや採点などについては、以下に解説するので参考にしてください。
単独演武のルール
単独演武には、以下のルールがあります(大会により変更あり)。
- 演武者の最高武階の最終科目内(資格内)の技が使用できる。
- 演武時間は、1分以上1分30秒以内(小学生の部のみ時間制限なしの場合もあり)とし、未満超過は10秒ごとに総合点より5点減点する(2分以上は失格)。
組演武のルール
組演武には、以下のルールがあります(大会により変更あり)。
- 演武者の最高武階の最終科目内(資格内)の技が使用できる。
- 演武時間は、1分30秒以上2分以内(小学生の部のみ1分以上1分30秒以内)とし、未満超過は10秒ごとに総合点より5点減点する(3分以上は失格)。
団体演武のルール
団体演武には、以下のルールがあります(大会により変更あり)。
- 演武者の最高武階の最終科目内(資格内)の技が使用できる。
- 演武時間は、1分30秒以上2分以内(小学生の部のみ1分以上1分30秒以内)とし、未満超過は10秒ごとに総合点より5点減点する(3分以上は失格)。
- 1構成目と6構成目は規定単独演武(少林寺拳法競技規則 第4章 第7条 団体演武 第5項)とし、2~5構成目は2人での組演武とする。この条件に合わない場合、10点減点する。
なお、規定単独演武は、「天地拳第1系~第6系」「義和拳第1・2系 」「龍王拳第1・3系」「龍の形(逆小手) 「」紅卍拳 白蓮拳第1系 」から2点を選択すること。
少林寺拳法の技については、関連コラム「少林寺拳法の技の基本と種類について有段者が徹底解説します!」をご覧ください。
少林寺拳法の演武のコツ
小林寺拳法の演武のコツは、とにかく型(法形)の動作、足さばきや体さばきなどを正確に覚えることです。そのためには練習を繰り返すことが必須となります。
また、単独演武であれば、1人で演武を行うため、自分の動きが正しいかどうかを確認することが大切です。
鏡の前で練習する、動画を撮影するなど、確認できる方法で正しい動作を身につけましょう。
組演武では、パートナーと息を合わせることはもちろん、お互いの技が上達をしないと評価が低くなるため、協力して上達を目指しましょう。
団体演武では、6人または8人の息を合わせることが必須となるため、一緒に流してタイミングを合わせるようにしてください。なお、技の上達度も同程度でないと難しいでしょう。
少林寺拳法の演武の楽しさやメリット
小林寺拳法の基本は「組手主体」。これは、2人1組で技を練習して技を習得するという教えです。
小林寺拳法では自分だけでなく、相手も含めお互いが上達できるように思いやりの心を持って修行に励むのが基本となります。
つまり、厳しい修練も2人で努力するから乗り越えられ、昇級や大会で入賞できるのです。お互いを思いやることで、自分も相手も幸せになれるなんて、とても素晴らしいことですよね。
1人では型の一方向しか学べません(攻撃だけ守備だけなど)が、2人だと型を実践的に理解できます。また、同じ目標を持つ2人で頑張るのは楽しいです。
人生も同じで、独学や一匹狼では大きな成果を上げるのは難しいですが、みんなで協力することで結果を出せます。
小林寺拳法のメリットは、思いやりの心と協力する体制を作るための基礎を学べることです。
少林寺拳法の教えについては、関連コラム「少林寺拳法とは?あなたの疑問に有段者の元拳士が分かりやすく解説します!」をご覧ください。
少林寺拳法を始めよう
他の武道とは少し異なり、小林寺拳法は「人づくりの行」です。礼儀作法や思いやりの心を身につけることができます。
「組手主体」にも通じますが、「自他共楽」という教えもあり、自分だけでなく他者も幸せになろう!という考え方が基本です。
つまり、「思いやりを一番にしている武道」といえます。
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